宇野亞喜良 万華鏡【ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)】にて開催中。

宇野亞喜良はイラストレーター、グラフィックデザイナーとして1950年代から半世紀以上にわたり、“黄金の左腕”を武器に、常に時代の第一線で活躍してきた。特に1960年代-70年代は、寺山修司演出の天井桟敷公演をはじめ、アングラ系の劇団を中心としたサブカルチャーと深く結びつき、狂気や毒気、エロティシズム、情念を孕んだポスターやイラストレーション表現で一世を風靡。街に貼られた宇野のポスターが次々と剥がされたり、ポスターが先行して芝居の中身にまで影響を与えるようなことも実際に起こっている。
20世紀末には、これら60年代のポスターが再評価され、宇野の美しさの中にスキャンダラスな妖しさを含んだ耽美的な世界は、いよいよ円熟味を帯びた。なかでも、かわいらしさと妖艶さを併せ持つ少女像は、宇野の同世代から若い世代まで多くの支持を集め現在に至っている。最近になって宇野は、自分と時代の波長が再び合ってきたことを実感。1960年代当時、宇野が感じていた少女特有の可愛らしさに対する感覚が蘇り、自分の感じた少女像を自然に描けるようになったと言う。
「印刷というのはイラストレーションを確実に復元するんじゃなくって、出来上がったものがよければそれが一番いい」と、昔から印刷のマジックに強い関心を示してきた宇野。本展(1階会場)では、俳句と少女をテーマにした作品シリーズ約20点を、津田淳子氏による特殊印刷設計によって、異なる表現方法を試み、新たな作品に蘇らせます。地階会場では、刈谷市美術館のご協力の下、今回の印刷実験による新作の原点となる1960年代のポスター約50点を一堂にご覧いただきます。まさに会場は、最新作と初期作品とのシンクロニシティの場と化します。時代を超え、普遍的な魅力を放ち続ける少女像(万華鏡)をご堪能ください。
会場
〒104-0061
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1F
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
TEL:03.3571.5206/FAX:03.3289.1389
開館時間:11:00am – 7:00pm
休館:日曜・祝日・2022年12月28日(水)~2023年1月5日(木)/ 入場無料
https://www.dnpfcp.jp/gallery/ggg/
宇野亞喜良
1934年名古屋市生まれ。名古屋市立工芸高校図案科卒業。カルピス食品工業、日本デザインセンター、スタジオ・イルフィルを経てフリー。日宣美特選、日宣美会員賞、講談社出版文化賞さしえ賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞、日本絵本賞、全広連日本宣伝賞山名賞、読売演劇大賞選考委員特別賞等を受賞。1999年紫綬褒章。2010年旭日小綬章受章。
主な作品に、『宇野亜喜良60年代ポスター集』、『奥の横道』、『MONOAQUIRAX+』、『宇野亞喜良クロニクル』、『宇野亞喜良ファンタジー挿絵の世界』。絵本に、『あのこ』(今江祥智・文)、『白猫亭』、『上海異人娼館』(寺山修司・原作)、『おおきなひとみ』(谷川俊太郎・詩)、『X字架』、『恋人たち』(穂村弘・文)など。刈谷市美術館、Bunkamuraギャラリー他、個展多数。キュレーターや舞台美術も手がける。