Screen Tests / A Diary by Gerard Malanga and Andy Warhol 5月12刊行

新しいポートレートのあり方を美術史に刻んだアンディ・ウォーホルとジェラード・マランガの共著『Screen Tests / A Diary』復刊
1960年代、アンディ・ウォーホルがニューヨークのマンハッタンに構えた作品制作スタジオは「ファクトリー」と呼ばれ、ウォーホルの代名詞ともなっているシルクスクリーンの作品や、60年代から手がけはじめた実験映像などをこの場所で制作していました。また、ミック・ジャガーやルー・リードといったミュージシャン、トルーマン・カポーティやアレン・ギンズバーグなどの詩人、ニコやイーディ・セジウィックなどの女優やファッションモデル、ウォーホルの友人、知人が昼夜を問わず集うサロンにもなり、ニューヨークのカルチャーシーンの中心地となっていました。
そのファクトリーでウォーホルとマランガが訪問者たちを被写体にして制作していた作品が、固定した16ミリカメラで彼らのバストアップを撮影した映像作品[Screen Tests]です。カメラを向けられた人々がその前でただジッとしている様子を記録した本作は、ウォーホルが初期に手がけた実験映画として知られ、多くの著名人が斬新な「肖像」としてウォーホルに制作依頼したシルクスクリーン作品と同様に、新しいポートレートのあり方を美術史に刻みました。
Screen Tests / A Diary
1967年、そのフィルムの一部をプリントした写真と、ファクトリーで初期から作品制作に携わっていたジェラード・マランガの散文詩が淡々とページを連ねる[Screen Tests / A Diary]が刊行されました。しかし、同年に出版されて高い評価を得た[Andy Warhol’s Index (Book)]※1とは対照的に、当時はほとんど売れず、刊行から数年経っても過剰な在庫を抱えていた出版社は断裁処分をしてしまいました。結果として現存する数が極端に少なく、古書市場では50万円以上するレアブックになっています。
本作は、さほど変わらない表情が続くフィルムロールから、上端と下端のイメージは被写体が途中で切れているラフなトリミングがされていることに特徴を見出せます。この点において、四隅に余白が保たれ、キャンバス内で完結しているウォーホルの他の絵画作品とは明らかに異なります。これはジェラードによるアイデアで、二人の「共作」によって生まれた表現が肖像作品としての斬新さをもたらしました。また、ウォーホルの持ち前の求心力と、作品に登場する人々の多くをウォーホルに紹介したジェラード・マランガの交友関係とが相互に作用し、結果として本作は60年代のアメリカ文化を築いた人々のポートレートという側面をも帯びています。こうした観点からみても、非常に価値のあるアートブックと言えるでしょう。
初版が刊行されてから50年目にあたる2017年、[Screen Tests / A Diary]の復刻が実現しました。現代美術・芸術写真の文脈で重要な意義を持つこの歴史的マスターピースが忠実に再現され、現代に蘇ります。また、この復刻版は日本限定で発売され、世界で唯一入手が可能なのは日本国内のみとなります。この機会にぜひご高覧ください。
※1Andy Warhol’s Index (Book): 写真やテキスト、ポップアップや風船、ピクチャー・ソノシートなどが織り交ざった仕掛け絵本型のアーティストブック。
注文・詳細はPOSTウェブサイトにて
POST:http://post-books.info/news/
[Screen Tests / A Diary] 復刻版
2017年5月12日発売
写真:ジェラード・マランガ
テキスト:河添剛/デザイン:田中義久
企画・発行:POST(株式会社limArt)
ソフトカバー/253mm x 188mm /216ページ/53図版※
2,000部/日本限定販売 本体価格:4,800円+税
※1967年刊行のオリジナルには54図版が収録されていますが、復刻版は1図版が省かれています。